介護の知識 転倒・転落しない為のコツ

転倒転落しないためのコツとは?

 

介護で頻発する歩いたときの転倒や移乗の際の転落を予防するには、どうしたら良いのか、介護施設でもご自宅で過ごす方でも大きな悩みになる部分です。

 

今までお一人で歩いていた頃には考えられなかったリスクであり、いざ歩けなくなった、移乗するときに転落してしまうということがあった際、どのような選択肢があるのかイメージがつかないと思います。

 

今回はそんな方に対して大まかではありますが転倒転落を起こさないためのコツをお伝えできればと思います



まず結論ではありますが身体機能にあった歩行の方法以上の方法を選択することが重要となります。

 

それが難しいんじゃないか!と当然思われると思います。

 

可能であれば、専門のリハビリテーション職に助言をもらえれば、一番だと思いますが、そもそも手段としてどんなものがあるのか解説していきたいと思います。

 

まず歩行に関してです。

歩行は何も補助具を用いない、通常の歩行とあとはイメージがつきやすいところから言いますと杖を使った歩行。それとよく使用されているのは、シルバーカーや歩行車といった車輪がついた補助具を使う方法です。

このほかにも松葉杖や買い物カートなど様々な方法がありますが、それぞれ利点やデメリットがありますので、まずはどの方法が生活に取り入れやすいのか考えてみるといいと思います。

 

ある程度何もなくても歩ける方であれば杖の使用が一般的です。しかしそれでも転倒してしまう場合やすぐに疲れてしまう場合などには、シルバーカーや歩行車が適当な選択肢となります。歩行車の利点としては、杖に比べて歩行が安定するということに加えて、多くのもので、荷物の運搬ができる籠が付いていたり、疲れたときに休める座面がついていたりとご高齢の方にとって有用な機能が付いています。

 

歩行車は介護保険でのレンタルや購入も可能です。オススメとしては身体機能に合わせて調整が可能ですので、レンタルをお勧めしています。

 

また杖に関してもよく使用されている一本杖、専門的にはT字杖と呼ばれるもの以外にも多点杖と呼ばれる地面につく部分が何本かに分かれているものや接地する面が広くなったタイプなど多くの種類があります。

接地する面が増える、本数が増えることに関してメリットとしては、安定性が向上することが挙げられますが、逆に凹凸の多い不整地等では、歩きにくくなるリスクが考えられています。

 

このため歩行がある程度安定していて、様々な場所に外出をされる方には1本杖が適当だと考えられており、逆にデイサービスだけ等、決められた範囲特に平らなところに外出される場合であれば、多点杖も選択肢に入ります。また、杖では転ぶリスクが大きく、また歩くと疲れやすい方に関しては歩行車を考えておけばいいと思います。

 

 

次に移乗に関してです。移乗は車椅子を使用される方に関しては、ベッドから車いす車いすからトイレなど日常で多く使用する動きとなります。

 

これもお一人で安定して行えれば良いのですが、足の力が弱ったり、様々なご病気で動きがわからなくなってしまった場合、転落につながります。

 

これの予防としては、認知機能がしっかりと保たれている方の場合には、ご自身でスライディングボードなどの用具を使用することも可能です。しかし、多くのご高齢の方で、移乗が難しい方に関しては、介護者と一緒に移乗する場合が多いと思います。

 

移乗に関してどのような用具を選び、どのような方法で行うのが良いのか、大まかにではありますが、日本テクノエイド協会が「簡易移乗介助選択シート」という参考となる基準を出していますので、こちらを見るとわかりやすいかと思います

しかし、この基準に当てはまらない部分も多く、またこちらに記載されていない方法も実際にはあります。

 

このシートの中でもスタンディングリフトに関してはやや知名度が低くご存知ない方も多いのでは無いでしょうか?

 

スタンディングリフトは電動などで立った姿勢をサポートして移乗を行う器具です。これを使用することができれば、立った姿勢を生活の中に取り入れることが可能となり、健康面においても有用ですし介護者の負担も顕著に軽減することが可能となります。

 

また、介護用リフトの導入はとてもメリットがありますが、やはり大掛かりですし、費用もかかるため、導入に対して心理的なハードルや経済的なハードルが大きいと考えられます。

スタンディングリフトも費用面決して安くは無いですが、介護用リフトに比べれば、購入するシートなどもなく行えるものあり、心理的にも立って移乗することが可能なため、例えばトイレやポータブルトイレの使用や車いすへの移乗など、比較的ご自宅の環境や生活の方法を変えずに導入できることがメリットとなります。

 

このスタンディングリフトは海外では積極的な活用が進んでいますが、日本ではまだまだ認知度が低い状況です。ノーリフティングケアと呼ばれる介護者が持ち上げるような移乗をできるだけ減らそうと言う取り組みにも合致しており、介護者の健康やまた介護される側の負担も軽減すると、活用の広がりが期待されています。

 

様々なご家庭の状況に合わせた歩行や移乗の方法を選択することで、安全にまたご家族も楽に介護が行えるようになります。

 

今回のまとめでは簡単ではありますが、そのように安全に生活ができるよう手段の紹介をさせていただきました。

 

最後になりますが基本はその方の身体機能に合わせた道具の活用が重要です。転倒や転落が続いているようであれば、福祉の専門家やリハビリテーション職の意見を取り入れ、道具の活用考えてみても良いのではないでしょうか。

 

日々の生活やご家族の生活の不安を減らす、一助にこの記事が役に立てれば幸いです。



1型糖尿病に関して簡単にまとめました

糖尿病と聞くと、生活習慣が乱れた結果というイメージがあると思いますが、一般的に聞かれるそのような糖尿病は2型糖尿病と言って、もう一つ1型糖尿病というものがあります。

 

糖尿病に1型、2型などの型がある事は徐々に社会に浸透している印象ですが、まだまだ知らない方もいらっしゃるかもしれません。

 

この記事では簡単に1型糖尿病の説明や治療法などについて簡単にまとめてあります。

 

では早速ですが

1型糖尿病2型糖尿病と違い、膵臓インスリンを出すβ細胞が壊されてしまい、インスリン注射が必須になる病気です。世界的には糖尿病全体の約5%が1型糖尿病と言われていて、若い方を中心に発症します。

2型糖尿病との違いは、膵臓のβ細胞が壊れる原因が特定されておらず、生活習慣病ではないと言う点です。現状、自己免疫系(自身の免疫で自分の細胞を攻撃してしまう)が原因の1つではないかと言われているようですが、まだ原因がわかっておらず、難病に指定をされています。

 

1型糖尿病の患者様にはインスリン注射(血糖値を下げる薬)が必須です。ただ海外では経口のインスリン薬やパッチ型など注射型以外のものも開発されていますので、今後活用が期待されています。

また人工膵臓と呼ばれるインスリンポンプの開発も進んでいます。これは血糖の測定、センサーと連動したインスリンポンプが血糖値に応じて自動的にインスリンの投与量を調整して投与できる機会になります。まだこちらは開発途中となっていますので、今後ICTやAIの力によってより良いインスリンポンプが開発され、患者様の負担軽減につながることが期待されています

 

1型糖尿病の治療に関してはインスリン注射を行う対処療法に加えて、膵臓の移植手術と言う選択肢もあります。

膵臓の移植手術の治療成績は諸外国と比べても日本は優秀な方であり、移植後の生存率は95%となっているようです。

しかしドナーが少ない日本の移植医療の状況を鑑みると、誰でも移植が受けられると言う状況ではないと思います。

 

また、研究段階の糖尿病治療として、再生医療や免疫療法が挙げられます。京都大学の山中教授などが研究されているiPS細胞などから膵臓のβ細胞を作る研究がなされています。免疫療法は1型糖尿病の原因と考えられている自己免疫を抑える治療法です。どちらの治療法もまだ実用段階ではありませんが、実用化されればインスリン注射を行わずとも生活が出来るようになるかもしれません。

 

ここまでは1型糖尿病大変な面を多く記載してきましたが、あまり悲観的になり過ぎるのも良くありません。

インスリンのコントロールさえ行えていれば、基本的に様々な食事を楽しむ事は可能ですし、例えばスポーツなども問題なく行えます。正しい知識や病状を把握して対処することが大切なのでしょう。

 

例えば、ご家族が1型糖尿病と診断された場合、特に子供で診断される場合が多いため、親御さんは大きな不安と負担を感じると思います。しかしまずは病状についてしっかりと主治医の説明を受けるとともに、ちゃんと治療しておけば、他の子供たちと大きく変わらず生活が行えると言う点も覚えておいて良いと思います。

 

1点だけ制度上難点なのは、幼稚園や保育園、小学校等、まだインスリン注射を自分で打てない年齢の子供さんの場合、インスリン注射を打てるのは、医師や看護師、そしてご家族だけになります。食事の前や後、血糖値に応じてインスリン注射が必要なため、子供さんが自分で注射を打てるようになるまで家族のフォローが多く必要になります。本当であれば看護師等が学校と連携し、対応ができれば良いのでしょうが、現状そのような制度にはなっておらず、先日のYahoo!ニュースでも取り上げられていましたが、1型糖尿病であることを理由に、転校や入園を断られた。そんなケースもあるようです。

 

可能な限り1型糖尿病を持っていても他の子供さん達と同様に、自分のやりたいことを行い、親御さんも安心して育児が出来るような、そんな体制や治療が進むことが望まれています。

 

より詳しい情報は難病医療センターなどのホームページにも記載がありますので、併せてご参照くださいね。

 

以上です。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。



「お義父さんが落ちていた」と言うYahooニュースを読んで考えたこと。

超高齢社会の日本での介護の現実として、壮絶な介護の状況が記事になっていました。この事例では、義理のご両親の家を訪れた際に、お父様がベッドから落ちていて、そしておそらく認知症の奥様が水分としてお酒を吸い飲みで上げていたと言う状況に遭遇したと言うことのようです。

 

この事をきっかけに、ご自宅でご両親を引き取り介護を開始されたようですが、なかなかうまくいかず、結果、老人ホームへの入所となったと言う記事でした。

 

私は訪問看護ステーションから理学療法士としてご自宅にお伺いする仕事をしております。このため、今回のようなケースで苦労されてらっしゃるご家庭にも多く遭遇しています。

この記事のケースほどな場合は少ないですが、似たような状況、ベッドから落ちていた、家中ゴミだらけの家などかなりありふれている現実を目にしています。

 

今回の記事では外部サービスの活用については触れられていないようでしたが、今回のようにご家族だけで抱え込んでしまうケースに関して、多少料金はかかってしまいますが、介護保険医療保険を利用した訪問のサービスを活用することはとても有用だと感じます。

この記事のケースのように、おそらくご両親ともに認知症を抱えておられ、またお父様に至ってはベッドから滑落し、起き上がれないことを考えても、何か身体機能の低下が顕著に見られる状況だと考えます。

 

このようにご家族だけではどう対応したらいいか全くわからない状況であれば、まずは市役所の福祉課もしくは地域の社会福祉協議会など福祉を担う地域の相談できる場所に、早急に連絡をして、ケアマネージャーや医師を中心に必要なサービスやご両親だけでなく、介護をされるご家族のケアを円滑に行う必要があるのではないでしょうか。

 

まだまだ日本では、家族の面倒は家族が見るという価値観が強い部分がありますが、現実としてご病気があるご家族の介護は、重度になればなるほど、家族だけで対応できる範囲を超えていきます。

 

困った場合にはしっかりと専門家に相談をする。それが大切です。

 

今介護をされている方や、今後介護を担う事が考えられる方、皆様、お一人やご家族だけで抱え込むことなく、介護する側が体調を崩さない安全な介護を行っていただきたいと思います。

 

最後になりますが外部のサービスに頼り、介護を行う事は、決して悪いことではなく、介護する側の体調を良い形で保つ事は、介護を受ける側にとっても良質な介護を受ける元となるため、とても利点があります。

 

無理をせず、安心して安全に笑顔で介護が行える、そんな介護を目指していく必要があると考えます。



中国で臓器ドナー登録者が626万人を超えた。というニュースを読んで考える事。

中国の臓器ドナー登録者が626万人を超えたと言うニュースがyahooニュースに掲載されていました。

一概に臓器ドナーとして登録することが良いと言うわけでは無いですが、考えさせられるニュースです。

日本の場合では臓器提供される人数は年間100人前後です。日本で臓器移植を希望し、臓器移植ネットワークJOTに登録している人数が約1万5000人となって、1年間で臓器提供受けた方は約400人。全体の規模をする2〜3%しか希望された方が移植を受けていないというのが現状だそうです。(待機者の多い腎臓移植では待機期間は15年…)

日本の医療水準は世界でもトップレベルだとは感じていましたが、臓器移植の分野にかぎって言えば、日本人としての文化、価値観の問題や制度面もあり、まだまだ未整備な部分が多い印象です。

制度面に関しては日本ではOPTING INを採用しており、これは本人が臓器提供の意思表示をしている、もしくは家族が臓器提供に同意した場合のみ臓器提供が行われるという制度。逆にOPTING OUTという臓器提供に反対の意思表示がされない限り、脳死後、臓器提供がなされる制度もあります。こちらであれば臓器提供数は当然増えますが、どちらが良いのか、大変難しい問題だと思います。

 

現状、末期の臓器不全に対する治療法として、臓器移植が重要な状況において、そもそも臓器提供の数が少ない日本の状況と言うのは、医療と言う面だけで考えればマイナスが大きいのかもしれませんが、やはり脳死後とはいえ、自身の臓器を提供する事に抵抗感があるのも当然な感覚な気もします…

一人一人がこの問題について考え、ご家族とも意思表示に関して話し合っておくことが良いのかも知れません。

 

皆様はいかがでしょうか?健康保険証の裏面の臓器提供の意思表示欄の記載は済んでいますでしょうか?

私自身お恥ずかしながら、記載をせずに放置していました。このニュースをきっかけに、この問題について自分なりに考えていきたいと思います。